まず確認すること
- お腹がいつから、どのくらいの速さで膨らんだかを、押したり揉んだりせず見た目で確認します。
- 最後に牧草やペレットを食べた時刻、最後に便を確認した時刻と量を記録します。
- 体を丸める、落ち着かない、動かない、触れられるのを嫌がるなど、痛みを疑う変化がないかを見ます。
- 鼻孔を大きく広げる、口を開けて呼吸する、胸やお腹を大きく動かす、反応が鈍い、体が冷たい状態がないかを確認します。
- 急な腹部膨満に、食べない、便が出ない、痛み、呼吸異常、ぐったりが一つでも重なる場合は、確認を続けず今から受診先へ電話します。
消化管運動低下との違い
胃拡張は、胃がガス、液体、食物などで通常より大きくなった状態を指します。消化管運動低下は、胃や腸の運動と内容物の輸送が落ちた状態です。運動低下に胃拡張が伴うことはありますが、二つは同じ意味ではありません。
胃が主にガスで膨らんだ状態は「胃鼓脹」と呼ばれることがあります。一方、英語の「bloat」は胃以外の腹部膨満にも使われる曖昧な通称なので、言葉だけで病態を決めません。
胃の出口やその先の腸管が塞がる、空気を多く飲み込む、胃の位置が変わるなど、運動低下以外でも胃は拡張し得ます。胃拡張があるから必ず胃がねじれているわけではありませんが、ねじれを伴う「胃拡張・捻転」は緊急病態であり、外見から捻転の有無を判断することはできません。
デグーについては、鼻腔閉塞や呼吸器トラブルに伴う喘ぎと空気嚥下から胃のガス膨満が起こり得るという獣医師向け報告があります。胃拡張・捻転はモルモットでも報告されていますが、デグーでの発生頻度や典型経過を示す臨床研究は十分ではありません。
外から見ただけでは、胃が拡張しているのか、腸管のガスや内容物、別の腹腔内の問題で膨らんでいるのかを判断できません。消化管運動低下、機械的閉塞、胃の位置異常を含めた切り分けには、獣医師の診察とX線などの画像検査が必要です。
初動
- デグーを追いかけたり何度も持ち上げたりせず、静かで温度が安定した環境に置きます。
- 腹部を押す・揉む、運動させる、ガスを抜こうとする処置は行いません。
- 補助食や水をシリンジで流し込まず、人用の整腸薬、ガス薬、下剤、手元の消化管運動薬も自己判断で使いません。
- 針やチューブで胃を減圧する処置は医療行為です。家庭では絶対に試さないでください。
- 自己判断で長時間の絶食を続けることも避け、食事と給水をどうするか受診先へ確認します。
- 食事・便・呼吸の時刻記録、腹部の変化が分かる写真や動画、誤食の可能性、使用中の薬を受診先へ伝えます。
受診の目安
お腹が急に膨らむ、張りが強くなる、食べない、便が出ない、痛がる場合は、胃拡張や閉塞を家庭で除外できないため今から受診先へ電話してください。呼吸が苦しそう、横たわる、反応が鈍い、体が冷たい、急速に悪化する場合は救急受診を優先します。
軽く見える張りでも、食欲や便の減少を伴う、続く、繰り返す場合は当日中の相談対象です。「消化管運動低下だろう」と決めて給餌や投薬を始めず、先に画像検査を含む評価が必要か確認します。